コロナワクチンって結局安全なの?~とある新薬開発者の見解~
いよいよ日本でも接種が始まった新型コロナのワクチンですが、メディアや専門家、ネット上など様々な情報や意見が錯綜していて、結局打ったほうがいいのか、確信が持てない人が多いと思います。
有効性が凄いということはよく話題になっているけど、「本当に安全なのか?」が、多くの人の懸念点ではないでしょうか。
正直、コロナワクチンについてはこれまであまり調べたことがなかったのですが、ふと気になって臨床試験の情報を調べてみたので、ワクチンの安全性と個人的見解について書きたいと思います。
※私は新薬開発の一部を仕事にしていますが、コロナワクチンについては一切関わっていないので、誰でもホームページから入手できる情報のみから確認しています。
通常、臨床試験の情報を確認するにはPMDAのサイトから「審査報告書」と「申請資料概要」を読むのが確実ですが、何百ページもあり専門用語も多いので、一般の方は添付文書を検索して「臨床成績」の部分を見てみるのがおすすめです。
(添付文書検索:添付文書情報メニュー (pmda.go.jp))
さて、今回日本で使用される新型コロナワクチンは、ファイザー社の「コミナティ筋注」です。
安全性としては、海外の治験で1回目接種後の8183人、2回目接種後の7507人分のデータが示されています。
<主な副作用は?>
注射部位の痛み(72.6%)、疲労(55.5%)、悪寒(29.6%)、頭痛(46.1%)、筋肉痛(33.5%)、関節痛(20.5%)、発熱(13.6%)です。
(※2回目の接種後7日間以内に発症した副反応)
また、日本人での臨床試験も実施されていますが、160人(本剤投与は119人)と少ないですね。。
日本人での主な副反応は、注射部位の痛み(79.3%)、疲労(60.3%)、悪寒(45.7%)、頭痛(44.0%)、筋肉痛(16.4%)、関節痛(25.0%)、発熱(32.8%)です。
見て分かる通り、意外と多いです。
頭痛10%台のインフルエンザワクチンとかと比べても、かなり高いです。
半分の確率で疲労感と頭痛があって、3人に1人は発熱、4人に1人は関節痛、って感じですね。
<アナフィラキシーが起きる?>
ごくまれに起こる重大な有害事象として、アナフィラキシーがあります。
日本人ではアナフィラキシーは起きず、海外での発生は100万人あたり5人となっており、抗生物質などと比較しても桁が違うほど少なく、この点では安全と言えそうです。
<長期的な安全性は?>
まだ観察期間はほんの数ヶ月で、長期的な安全性については不明です。(通常、ワクチン開発では長期的な安全性確認が必要で、最低でも開発に4年はかかります)
これまでとは全く性質の異なるmRNAワクチンということもあり、予想できない部分も多いです。
<効果はどのくらい?>
メディアでは「効果95%!」などと言われていますが、有効性95%とは、100人中95人に効くという意味ではなく、接種しない場合と比較して、接種した人ではコロナを発症した人の割合が95%減少したという意味です。
今回の有効性のデータから計算すると、「接種しない場合113人に1人感染」に対して、「接種した場合2275人に1人感染」となります。
インフルエンザワクチンなどと比較しても、かなり高い効果と言えます。
ということで、以上のリスクよりメリットが上回ると考える人が、接種希望となります。
世界中を混乱させた新型コロナに対して、ワクチンが強力な武器となることは間違いないですが、私はまだ打ちたいとは思わず、もう少し情報の集積を待ちたいです。
テレビではワクチンの素晴らしさや、海外での大規模接種を報道している一方で、週刊誌やネットでは、「ワクチンに効果なし」、「アナフィラキシーが起きた」などネガティブな情報が多い気がします。
テレビで言ってたから、有名な専門家が言ったから・・・などと安易に信じすぎず、それは参考として、もっとできるだけ事実に近いと思われる情報を自分の目で確かめて、判断するのがよいと思います。
もしかしたら命に関わるかもしれない、自分の体のことですから。
私の話もあくまで参考の1つとして、どうぞ。